あいのあかし

そらとうみはひとつにはなれない

たがいをみつめあいながら

はなれているしかない

おのおののやくわりを

ほうきすることはできない

そらはそらであり

うみはうみであり

ひとつからうまれて

ふたつにわかれたとしても

もうもとにはもどれない

にていることをよろこび

ちがうことをよろこぶ

たがいのために

おのれのそんざいがあるのだと

それだけがあいのあかしなのだと

イヌ

ワタシ

イヌ ナラ ヨカッタ

トキドキ アナタガ ナマエヲ ヨンデ

アタマヲ ナデテ クレルダケデ

ホカハ ナニモ ノゾマナイノニ

ソレダケデ

コンナキモチニ ナルコト ナイノニ

Birthday present

今の僕にはまだ早過ぎるから
箱に詰めて埋めちゃおう
何年後かの誕生日に
掘り起こせるように
場所はちゃんと覚えとこう

その時になったら
丁度良くなっているかな
少しは大きくなってるといいな
蓋を開けるその時に
ワクワクする気持ちは残してたいな

一年後？
五年後？
十年後も
同じ気持ちで居れたらいいな

もしもそんなコトも忘れちゃって
退屈な毎日を過ごしていたら
僕が僕に会いに行くよ
大切なモノを忘れてるよと
気づかせるよ

空っぽの中身は何処に行ったの
あの木の下に埋まってるよと
例えそれが哀しみだとしても
僕は僕を取り戻してよ

一年後？
五年後？
十年後も
同じ気持ちで居られるように

一年後？
五年後？
十年後でも
間に合うって信じているよ

花

その花は
穏やかな地に
ひっそりと咲いていた

今までに
見たことのない美しい花

惹かれ近づく

見つめると
愛しくて
どこか懐かしくて
凛とした姿に
力が湧いてくる

いつも近くで眺めていたい

そうすれば
殺伐とした日常をも
快く乗り越えられる気がする

手折ろうと手を伸ばし
ふと思い至る

折ればこの花は必ず萎れる
ここに咲いてこそ美しい花

遠い昔に聴いた話を
ふと思い出す

まだ幼かったあの頃なら
自分のモノにしたいとは
思わなかっただろう

失笑…

どうか
いつまでもこのままで…

魔法の鏡

見えないものを映し出す

魔法の鏡を見つけた



辛かったから

苦しかったから

ちょっとだけ覗いてみたら

少し先の未来が見えた


鏡は

良過ぎもせず

かと言って悪過ぎる事もなく

希望的な予見を残しながら

そこそこの近い未来を映し出した



そして

その未来のおはなしには続きがあると

鏡は言った

ここから先が見たければ

何かと引き換えよ



私はどうしてもその先が見たくなる

そしてお金を

そして時間を

私は鏡に費やしていった



映し出された未来は

さらに幸福な希望を匂わせる



流石に出来過ぎな未来には

疑念が湧くだろうが

そこにはちゃんと

現在の姿も映っていて

誰にも見えない筈の

私の心も映っていた



私は鏡に魅せられ

手放せなくなっていった

お金も時間も次第に無くなり

最後には現在も

未来も無くなっていった



都合良い未来を映してくれる鏡に

私の全てを引き換えにして